2023年09月07日

仏教は何を諭すか

釈尊(お釈迦様)は何を私たち人間に諭しているのでしょうか? 僧侶以外にも仏教信者や仏教を勉強されている人々は皆 ご存じですね。  まず お諭しの中心は四苦八苦(生老病死 愛別離苦 怨憎会苦 求不得苦 五蘊盛苦=五陰盛苦)と八正道(清く誠実な心を持って世の中の出来事に惑わされないように正しく生きること)です。 このお諭し中でも愛別離苦は真に苦しい出来事だと思います。 最近では炎天下にバスの中に取り残されて亡くなってしまった幼児 または重い病気で亡くなった家族の一員 事故や天災で突然奪われた家族の命 愛別離苦の中でもこれら不運な出来事は残された家族にとって 気がおかしくなるほど悲しい苦しみだと思います。 その残されたご家族のことを想えば なんとも痛ましく可哀そうで…可哀そうで 胸が痛くなりますね。 また一方では愛する恋人との破局 愛する夫や妻との離縁なども愛別離苦に当たります。 この辛い運命に何年経ってもなかなか立ち直れなく 将来の夢や希望を持てずに 生きがいを無くしている人を知っています。 私はただ共感してあげることしかできないのですが その人たちの気持ちはよ〜く分かります。 ある人が幼い子供を病気で亡くした時に 葬儀場で私たちにこう言いました。 「神仏を信仰してきたけれども こんなに愛する子を無くしてしまって もう…仏教は信じられない 神も佛もない!」と。 そう言いたくなるお気持ちはよく分かるのですが ただ釈尊は誰にも「夫や妻を持ちなさい」とか「子供を持ちなさい」とは言っていないのです。 また求不得苦というお諭しがありますが 釈尊は誰にも「地位や名誉を得なさい」とか「権利や財を持ちなさい」とも言っていないのです。 それらを持つことには否定はしていませんが ひとときの喜びや幸せはあるかもしれないが すべて苦ですよ…と諭しておられます。 ただ涅槃前 弟子のひとり アーナンダが人生の苦についても今一度確認をしたときに 釈尊は最後に人生は苦ではあるけれども甘美を味わえる素晴らしいものだとも説いておられます。 甘美とは 例えば良き両親や兄弟姉妹や友達を持てたこと 恋人を持てたこと 自分の家族を持てたこと 子供を持てたこと 家を持てたこと 地位や名誉や財を持てたこと それらは素晴らしい人生だよ…とも捉えられることができるのではないかと思います。 涅槃前 釈尊は「もろもろの事象は過ぎ去るものである。 怠ることなく修行を完成なさい」と言い残して涅槃に入られました。 つまり 時は儚く世は無常 あらゆるこの世の出来事(喜びも悲しみも 幸せも不幸も含めて)は止まらずに自然に過ぎ去ってゆくのだから たとえどのような苦しい出来事に出会ったとしても強い気持ちで耐え忍び この世を去るまでに 日々 八正道に精進して安定した正しい心を作り上げなさい ということになります。
posted by 浅田先生 at 21:32| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする