2020年10月30日

成瀬くん

私は小学生の時、両親の仕事の関係で二度、転校しました。一回目は小学校2年生で、二回目は小学校6年生の時でした。転校生としてその6年生の時、堺市にある小学校に転校しました。その教室にはそのクラスメイトになる成瀬正憲くんが居ました。身体が大きく喧嘩も一番強いらしく、ちょっと怖かったのですが、私にはとてもとても労りの有る優しい同級生でした。転校したその初日から私の家に遊びに来てくれました。当時は転校生はよそ者としてあまり歓迎されない時代でしたので、知らない少年たちが沢山いるクラスにまた入るのはとても抵抗が有り憂鬱でした。先生からクラスのみんなに紹介された時には、正直、またしばらくは仲間外れになるのではないかと、不安で不安でちょっと震えていた自分を思い出します。一回目がそうだったからです。席に着くとさっそく一人の悪ガキが睨んできたのを覚えています。その時にその成瀬くんがすぐに、その悪ガキくんを追い払ってくれました。とても嬉しかったです。それからというもの、成瀬くんは私をいつもいたずら好きの連中から守ってくれました。休みには遊園地やお祭りによく二人で遊びに行きました。そうして成瀬くんとは同じ中学校に上がり、1年生では違うクラスになりましたが2年生では同じクラスになり、嬉しくて嬉しくて、また抱き合って喜び合いました。お互いに思春期なのでよく好きな女の子の話などをしながら、好みのタイプを語り合いました。そうしているうちにある寒い冬がやってきました。教室ではあるクラスメイトが風邪に罹り、学校を休むようになり、三人目か四人目あたりで成瀬くんも風邪をこじらせて学校を休みました。12月初めだったと思います。ようやく風邪をこじらせたクラスメイトたちが徐々に回復して学校に戻り始めたころ、しかし成瀬くんだけは戻ってきませんでした。ある日の朝、学校の教室に入るとクラスの女の子たちが成瀬くんの机の側で泣いていました。机の上には花束が置かれていました。私は状況がまったく分かりませんでした。「皆、どうして泣いているの?」て、別の級友に尋ねたら、「成瀬が死んだんやって」「風邪から肺炎を起こしたらしいよ」と言いました。私は思わず、にやけながら「嘘やろ〜!」「一週間前は成瀬と一緒にバスケットをしたし!」と、言い返しました。でもその側にいた女の子たちも「本当よ、淺田くん…泣泣泣」と言われた瞬間、私は頭が真っ白になりました。頭から血の気が引いてくる状態になり、腰を抜かして椅子に座りこんで、しばらく立ち上がれませんでした。その日の夜、お通夜ということで、もう一人の級友と成瀬くんの家にゆきました。成瀬くんは仏壇の前に敷かれた布団の上で深く眠っているかの様でした。お母さんは狂ったように泣きじゃくっていました。まだ状況を理解できない年のかなり離れた成瀬くんの弟も静かに眠る兄を見つめていました。私が人の死を初めて肉眼で見たのは、成瀬くんが初めてでした。寒い冬の夜、帰り道で私は一人、「ナルセ、何故死んだ…ナルセ、何故死んだ…」と呟きながら涙を流しながらトボトボと帰っていったあの日の夜のことを今でも思い出すのです。彼が生きていたら、きっと一生涯の親友になっていたに違いないと思います。いつも心から私を労わってくれた成瀬くん、いつも私を助けてくれた成瀬くん、彼が居てくれたお蔭でイジメにあうこともなっかた私は今でも心から彼に感謝しています。今でも時々、彼を想いだすのです。でもどうしてあんな優しい慈悲の有る青年がたった14歳で天国にゆかなければならなかったのか、それだけがどうしても悔やまれる今日この頃です。
posted by 浅田先生 at 01:39| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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